このお話はパラレルです。
重衡→望美→知盛がスタート地点。
望美がメイドの設定です。
かなり過激な描写が含まれます。
優しい重衡さんしか認めない!
望美だけにしか興味をひかれない知盛しか嫌だ!
・・・・・・という神子様方はご遠慮下さい。
お楽しみいただける方はどうぞよろしくお願いします^^
それは白く咲く花。
可憐に気高きマグノリア。
「あっ・・・・アッ・・・・重衡様・・・・!や、もうっ・・・・・!」
邸の奥の一室で、少女は甲高い声をあげた。
後ろから男に貫かれている身体はまだ少し、大人というには幼い。
だが、こぼれる吐息はまぎれもなく「女」のものだった。
その反応も。
「・・・・・・もう?どうしたんですか、望美・・・・?」
重衡は請われるままに、抽送をやめた。
不意に止んだ刺激が、じわじわと望美を壊す。それを分かった上で。
「ふふ・・・、止まってほしいのでしょう・・・・?」
腰を高く突き上げて、ベッドに倒れ伏した状態のまま止められて、望美は震えながら重衡を見つめる。
「やめられては」「終われない」「体も疼いて」・・・・・
疼いて、そして?
望美の思考はうまく回らなかった。
単語ばかりが浮かび、揺れる。
分かっているのはひとつだけ。
「ちが、違います・・・・」
「・・・・・違うのですか?」
いかにも意外、という声音で重衡が驚いた。
ただし目の奥は笑っていない。
望美は泣きそうになる。
「やめ、ないで・・・・」
その先を言いたくなくて、望美は躊躇った。
だが、無言の催促と、望美の中を圧迫する重衡の堅さが、少女の羞恥心を押し潰した。
「・・・・・・いかせて・・・・」
囁くようなそれは、いつも僅かに涙声。
それに重衡は異様なまでの興奮を覚える。
「ああ、そっちですか・・・・ふふ、ええ、いくらでも今日はいかせてあげますよ」
今日は、ご褒美ですから。
悪魔のような優しさで重衡は望美の耳元で囁いて、ついでに少女の耳朶を舐めた。
既に数時間弄られ続けた身体は、僅かな刺激にも過敏に反応する。
「はあっ・・・・ん・・・・っ」
「いい声ですよ・・・・もっと聞かせてくださいね」
そうしてまた、抽送は開始される。
ただし、言葉と裏腹に浅く、軽く、少女が達せないギリギリのラインで遊ぶように。
意図に気づいた望美は悲しくて、それでも文句を言うことも出来ず、ただ耐えるようにシーツを食んだ。
どうして、こうなったのだろう。
重衡は、いつから自分を「好き」だったのだろう・・・・・?
いくら考えても、望美には分からない。
世界で一番安心できるはずだったそこは、あるときから、望美を甘く苛む牢獄になった。
好きだと囁かれなければ。
せめてそれが嘘なら憎むことも出来るのに。
それすら許されぬまま、望美は重衡の望むままに存在させられていた。
十年前。
望美の母が死んだ。
仕事中に、不意に。
手伝いをしていた望美の目の前で。
「おかーさん、おかあさんっ!!」
呼んでも目覚めぬ母。
呼吸のない唇と、冷えていく手が、望美の心を強く揺らした。
怖い。
誰か呼ばなくちゃ。でも、離れられない。
「とも、知盛様っ、重衡様ぁーっ!!」
少女は力の限り、泣き叫ぶように二人を呼んだ。
他に誰を呼べばいいかわからない。
少女は箱庭の中にいた。
この平家という大きな邸の中。
嫡男たる二人に可愛がられて、邸に住み込むメイドの母とともに。
すぐに知盛が、次いで重衡が現れた。
望美が泣けばすぐに分かるスイッチでも彼らはもっているのか、といつも望美は思う。
すぐに来てくれる。
きっともう安心だ。
「――――どうした。――――・・・・・・一人倒れている。・・・そうだ、車を回せ。すぐだ」
「望美っ・・・・ああっ、い、一体これは・・・・・!」
死を知らぬ少女は二人の姿に安堵して、ホッと息を抜いて、手を広げてくれた重衡のところに擦り寄った。
何処かへ電話したらしい知盛が近寄って、望美を宥めるように頭を撫でてくれる。
母は倒れ伏したままだったが、これでもう大丈夫なのだ、と望美は安心しきって微笑んだ。
ここは世界で一番安心できる場所。
望美だけに許された、あたたかい揺り籠。
泣き疲れていた望美は重衡の揺らす腕の中、少し眠くなる。
その様子に気づいた知盛が望美を重衡から抱き取って、部屋で寝かせるべく運ぶ。
ゆらゆらと望美は夢の中。
けれど目覚めても、望美を置いて母は帰らなかった。
死というものを理解するにはまだ幼く、孤独を感じないほどには望美は鈍くなかった。
施設行きか。
そんな話も出たに違いない。
望美は母の他に身寄りなどなかったのだから。
けれど結果として、望美はそのまま平家で暮らすことを許された。
小さい雑用をこなしつつ、周囲の優しさに包まれて。
ただ幸せで。
―――― 十五になった春、それが終わってしまうまで。
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